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「やつぱり徳さんが多いね」
「あの、さきほど往診に出かけましたさうで」
真黒い顔の男が傍によつて訊いた。
「へえ、どういふわけでせう」
さう声をかけながら、練吉は近眼鏡の下から切れ目をぱちぱちさせ、気安げに、眠つている道平の顔の上にのぞいた。
「どうだ。起きられるか」
と、房一はひとり言を云つた。
「だから大事に大事に歩きましたよ。石ころの上を踏んだら一ぺんですからね。いつもこんなに大事に下駄をはいたらさぞ永持ちすることでせうが――」
「さあ、知らん」
と、相手は慌ててその筒抜けな声を庫裡の居間に向けて放つた。
「さうです、一寸」
「いや」